訪問看護・訪問介護の応援ブログ「楽する日記」

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09/132016

高齢者虐待を減らすために

こんにちは。

最近は暑さも少しずつ落ち着きはじめ、過ごしやすくなってきていますね。

これから秋に向けて気温の変化が激しくなってくると予想されますので体調管理にお気を付けください。

さて、前回のブログで取り上げました相模原の施設での事件が発生して早1か月が経ちました。

どれだけの月日が経とうと被害者の方々、ご家族の方々の傷が癒えることはありません。

この悲しい事件を受け、前回は施設や自宅での「防犯対策」について考えていきましたが、今回は、高齢者虐待防止のための視点を「介護者」に移して考えていきたいと思います。

最近、悲しいことに高齢者に対する虐待や事件について報道で耳にすることが多く、高齢者に対する虐待問題は、高齢化が進む日本で考えなければならない課題の一つとなっています。

皆さんは日本での高齢者に対する虐待の状況を知っていますか?厚生労働省が発表した「平成26年度高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」によると、以下のことが明らかとなりました。

まず以下のグラフは年度別の養介護施設従事者等及び養護者による高齢者虐待の相談・通報件数と虐待判断件数の推移です。

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・養介護施設従事者等による高齢者被虐待者数

被虐待高齢者は、総数 613 人のうち、女性が 427 人(69.7%)を占め、年齢は 85 ~89 歳が 134 人(21.9%)、80~84 歳が 114 人(18.6%)。要介護度は3 以上が 494 人(80.6%)を占めました。また、「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上」 は 474 人(77.3%)、「 要介護認定者のうち障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)A以上」は 387 人(95.3%)でした。

・養護者による高齢者被虐待者数

被虐待高齢者は、総数 16,156 人のうち、女性が 12,498 人(77.4%)、年齢は 80 ~84 歳が 3,851 人(23.8%)、75~79 歳が 3,410 人(21.1%)で、要介護認定の状況は認定済みが 10,837 人(67.1%)でした。要介護認定を受けた者を要介護度別に見ると、要介護1が 2,393 人(22.1%)、要介護2が 2,387 人(22.0%)、要介護3以上が 4,282 人(39.5%)でした。

・養介護施設従事者等による高齢者虐待の発生要因

「教育・知識・介護技術等に関する問題」が 184 件(62.6%)で最も多く、次いで 「職員のストレスや感情コントロールの問題」60 件(20.4%)、「虐待を行った職員の性格や資質の問題」29 件(9.9%)でした。

・養護者による高齢者虐待の発生要因

「虐待者の介護疲れ・介護ストレス」が 1,334 件(23.4%)で最も多く、「虐待者の障害・疾病」1,265 件(22.2%)、「家庭における経済的困窮(経済的問題)」920 件(16.1%) でした。

虐待を行った養護者(虐待者)との同居の有無では、「虐待者とのみ同居」が 7,836 人(48.5%)で最も多く、「虐待者及び他家族と同居」の 6,180 人(38.3%)を含めると、14,016 人(86.8%)が同居している事例であることがわかりました。

家族形態は、「未婚の子と同居」が 5,238 人(32.4%)で最も多く、次いで「夫婦のみ世帯」3,217 人(19.9%)、「子夫婦と同居」2,533 人(15.7%)の順でした。

被虐待高齢者からみた虐待者の続柄は、「息子」が 7,041 人(40.3%)で最も多く、次いで「夫」3,422 人(19.6%)、「娘」2,980 人(17.1%)ということがわかりました。

参考:平成26年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12304500-Roukenkyoku-Ninchishougyakutaiboushitaisakusuishinshitsu/0000111665.pdf

この結果における高齢者被虐待者数は報告があった件数だけであるため、実際に起こっている報告のなされていない虐待件数はさらに増えると考えられます。

この調査結果を見ると、被虐待者は女性が多く、要介護度が高くなるほど割合も増えていることがわかります。

虐待を行った養護者(虐待者)との同居の有無においては、「同居している」が86.8%と虐待を行った養護者と被虐待者のほとんどが同居しているということ、そして虐待者の続柄は、息子の割合が一番高いということがわかりました。

中でも重要な調査結果は、高齢者虐待の発生要因です。

養介護施設従事者等による高齢者虐待の発生要因は「教育・知識・介護技術等に関する問題」が62.6%で最も多く、養護者による高齢者虐待の発生要因は「虐待者の介護疲れ・介護ストレス」が23.4%で最も多いという結果が明らかとなりました。

このような結果から介護施設などではさらなる介護者への教育が求められていくでしょう。

情報共有ができていれば防止への対応ができたと考えられる分、介護への知識・技術不足で虐待が起こることはあまりにも悲しい現実です。

しかし、教育を徹底することで虐待を大幅に減らすことができるという事実でもあります。

施設管理者や責任者の方はこの結果を受け、改めて介護者に対する教育の在り方を見直してみてください。

施設での介護や在宅介護のどちらにも言えることですが、行き場のない悩みや不安、ストレスを抱えたまま先の見えない介護をし続けなければならない状況になると、それがやがて爆発し「虐待」へとつながっていく可能性が高いです。

これを防ぐには、施設では介護者同士や責任者の方とのコミュニケーションがより重要となってきます。

「この人は今なにに悩みやストレスを抱えているのか」ということに互いに敏感になり、話をするだけで気持ちが前向きになることもあるでしょう。

そして今回の結果のように、それが介護に対する知識不足から悩みや問題となっていることがわかれば、早期に対応することで虐待を未然に防ぐことができるかもしれません。

同居している介護者にも同様に、家族内や家族以外の信頼できる人、同じ介護者などとのコミュニケーションが一番大切だと思います。

介護をするご家族の方は自分だけが辛い思いをしているという孤立感や被介護者との意思疎通がうまくできないことや思い通りにならないストレス、身体的疲労など、様々な苦労があります。

ご家族だけではどうしようもなくなった時、いざという時には家族以外の外部の方に介護を手伝ってもらうという決断も必要かもしれません。

自宅にヘルパーさんが介護をしに来てくれるという安心感から余裕が生まれ、息詰まった心を少しでも開放してくれるはずです。

そしてさらにご自身が愛情と余裕をもって介護に携われるようになると嬉しいですよね。

普段からのコミュニケーションによって介護者の抱える問題を発見、そして虐待が起こる前に早期解決ができ、悲しい高齢者虐待がない世の中になりますように。