訪問看護・訪問介護の応援ブログ「楽する日記」

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08/052016

軽度者への給付の縮小について

こんにちは。
前回のブログでは2018年度の介護保険制度改正について取り上げました。
今回はその中でも議論がなされている軽度者に対する支援や給付の縮小について考えていきましょう。

先月20日、介護保険制度の改正に向けた議論を行っている審議会(社会保障審議会・介護保険部会)の会合で訪問介護の生活援助や福祉用具貸与など、軽度者に対する給付をさらに縮小する構想や見直しが論点として提示されました。
会合の詳しい内容についてはまだ情報がありませんが、今年2月の時点で介護保険部会での主な見直し項目の1つに訪問介護の生活援助サービスが挙げられ、介護の必要度が比較的低い要介護1・2の人を対象に、買い物や食事の調理などの援助メニューを介護保険給付から外し、原則自己負担とすることが検討される見通しでした。
今回の会合での軽度者に対する給付をさらに縮小することについては賛否両論あり、賛成派として経済団体の代表などからは厳しい財政を考慮して「やむを得ない」、「財政的な持続可能性やマンパワーの制約を勘案すると、給付は要介護3以上に重点化していかざるを得ない」、「生活援助は家族の協力でも補える。原則自己負担に近づけていくのはやむを得ない」という主張がありました。

また大企業のサラリーマンなどが加入する健康保険組合連合会の副会長からは、「給付の伸びや保険料の上昇を抑制していくには、苦しい選択だが軽度者の効率化を図るしかない」という意見があがりました。

反対派からは、「軽度者へのサービスは本当に重度化予防や自立支援に役立っているのか。データで明らかにして欲しい」、「利用者の重度化を早めてしまう」、「介護離職ゼロという目標に逆行する」といった指摘が相次ぎ、日本介護支援専門員協会の会長は、「支援の困難性と要介護度は必ずしも一致しない。要介護度の軽度・重度だけで安易に区別してはいけない」と縮小推進派へ理解を求めました。

賛成派、反対派それぞれの意見から見ても、軽度者の給付縮小はとても難しい問題だということがわかります。
この問題については多くの委員が慎重な立場を表明しましたが、現代の日本の財政的な持続可能性やマンパワーの制約を鑑み縮小を容認する声が相次ぎ、「重度化の予防」や「自立の支援」といった観点で効果の高いケアを推進し、全体の効率化につなげていく方向性で概ね一致したようです。

厚労省は今後改革の具体的な内容を固めるための調整を本格化させ、審議会に提示するのは秋になる見込みで、年内には来年の通常国会に法案を提出する予定とのことです。

財務省はこれまで、要介護2以下を対象に多くのサービスを地域支援事業に移したり、訪問介護の生活援助や福祉用具貸与を原則自己負担に切り替えたりするなど、思い切って再編するよう繰り返し提言してきましたが、今後、厚労省はどこまで踏み込んだ案を提出してくるのでしょうか。給付の縮小を加速させることに否定的な人は与党内にもおり、決着に至るまでの道のりは曲折もあると予想されています。

また、今回の会合で今のサービスをそのまま維持するのではなく、改善につなげるための工夫が欠かせないとの主張も続出し、日本医師会の常任理事は、「自立の支援という理念と給付の効率化を両立させないといけない」と強調しました。こうした意見への強い反論は出ておらず、何らかの施策が必要との認識が共有されています。
参考:日経デジタルヘルス
ケアマネタイムス

前回の介護保険制度の改正は介護報酬のマイナス面が目立ったこともあり、あまり有り難い変更とはいえない印象があったと思います。次回の改正ではもう少しプラスになる部分が増えることが期待されますが、昨今の状況をふまえると、そう簡単に誰にとってもプラスな方向に是正することは難しいかもしれません。

今後も続く介護保険制度改正及び、軽度者への給付の縮小についての議論に目が離せない流れとなりそうですね。

全ての人が恩恵を受け、納得するような介護保険制度の改正は困難だと思いますが、一人でも多くの人が生活の充実を図れるような社会になることを願っています。