訪問看護・訪問介護の応援ブログ「楽する日記」

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04/192016

認知症介護に音楽を

皆さまこんにちは。
今回は前回に引き続き、認知症介護に関する情報をお届けしようと思います。
最近では、音楽療法が注目されてきていますね。
「音楽」が認知症患者にどのようなよい影響もたらすかご存知ですか?
今回はまだまだ広く知られていない認知症介護における音楽療法についてご紹介させていただきます。

まずはじめに「音楽療法」とは?
音楽療法とは、日本音楽療法学会によると「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること。」(日本音楽療法学会公式サイトより引用)
引用:日本音楽療法学会公式サイト 

音楽療法のポイントは、「音楽療法士の資格を持ったセラピストが、音楽を聴いたり、歌を唄ったり、楽器を弾いたり、歌詞について話しあったりします。その他、即興で演奏をしたり、作曲をしたりなど、活動内容はさまざまで、どれを活用するかは患者さんの能力やニーズによって異なります。ただ単に音楽が「効く」というのではなく、なぜ音楽が効くのか、どのように音楽を使えばいいのかを研究し、そのデータに基づいて行うことがポイントです。」とのこと。(認知症ONLINEより引用)
引用:認知症ONLINE 

驚くことに、意識を失い、目も開けられなくなった末期の認知症患者さんでも「聴覚」だけは残っているそうなんです。
これを利用して認知症患者さんの生活に「音楽」を取り入れることは、単なる症状改善だけでなく、患者さん本人の心に訴えかけることに繋がると言えます。

では、音楽療法を行うことによってどんな効果があるの?
音楽療法に期待できる5つの効果
1うつ状態を軽減する
2言語力や記憶力の改善をサポートする
3社会性を高める
4攻撃的な行動を軽減させる
5身体の痛みをやわらげる
(認知症ONLINEより引用)

実際に軽度認知症高齢者へ音楽療法を行った研究では、注意判断力や表情(悲しみ、鬱ぎ)、他人の行動への関心、また、食事や協同、趣味活動、睡眠に関して効果が見られたことがわかっています。
この研究論文で、
「人は生命を維持するための呼吸のリズム、心拍のリズム、そして生活するための筋肉運動のリズム、歩行のリズムなど各自固有のリズムを持っている。高齢者の誰もが馴染んだ曲を歌い、身体活動することで一人一人の持つ身体のリズムに働きかけ、そこでリズムの同期反応(synchronized response)を誘発しやすいといったリズム特有の心理的特性を活 用した結果となった。馴染みの曲の使用は、馴染んでいるがゆえに高齢者が失敗感を持つ ことなく、安心して身体活動を行う余裕を持つ。更に昔の懐かしさに誘われ、非現実の世界に浸ることになり表情が明るく変化した。」(p12 引用)とあるように、認知症患者に音楽療法が有効であることは明らかです。
また、過去の研究では音楽刺激が大脳辺縁系に伝わり感情に影響すること、記憶の流れを活性化することなどの有効性を示した研究や、人が肯定的な感情を持つとき、脳はベーターエンドルフィンという物質を出し、それが免疫組織に影響を与え、健康維持に有効であることが科学的に証明されています。
参考:軽度認知症高齢者への音楽療法の効果検討一日常生活への心理的社会的機能改善について一 師井和子、谷口幸一ら 東海大学健康科学部紀要第12号(2007)

次に、認知症患者に音楽療法を行った事例を紹介します。
「アメリカのホスピスで出会った、80代の男性で、アルツハイマー型認知症の患者さんがいました。ほとんど話すこともできず、ひどく神経質になり、話しかけられただけで怒鳴りだす症状が出ていました。元々社交的だった患者さんだったので、人とのつながりを持てなくなることはとてもつらい状況だったのだと思います。
そんな彼でしたが、音楽療法を通してお気に入りのジャズの曲を歌い始めると、すぐに機嫌がよくなって、終わると必ず拍手をしてくれました。もっと驚いたのは、思い出の曲を歌い終えた後に、忘れていたはずの娘さんの名前を呼んだり、音楽によって記憶を取り戻すようなことが度々あったことです。音楽には、たとえ一時的にでも、昔の記憶を思い出させてくれる力があるのだと実感した瞬間でした。」(認知症ONLINEより引用)
音楽療法を通して、忘れていた記憶を取り戻すことがあるという事例は、認知症介護をされている皆さんにとって希望や励みになると思います。

今回ご紹介した音楽療法は素晴らしい療法ですが、少し敷居が高く、手軽に始められるものではないかもしれません。
また、音楽療法は「単に音楽を聴く」こととは違います。
しかし、患者さんの思い出の曲や馴染の深い音楽を聞いたり、一緒に歌ったり、歌に合わせて身体を動かしたり、その曲について語り合ったりすることは、とても需要なこと。
音楽療法までとはいかなくとも日常に「音楽」を取り入れることは、それに近い効果を得ることに繋がります。

曲を聴くと、聴いていた頃のことやそのときの心情がふっと蘇ることを経験したことがある人は多いと思います。
認知症患者さんも同じなのですね。
昔聞いていた思い出の曲や音楽を聴いて、当時のことを思い出したり、記憶が蘇ったりすることがあるのはとても素敵なこと。
また、音楽は癒したり、リフレッシュさせる効果もあるので、介護疲れに悩んでいる方にも是非音楽のある生活をしていただきたいです。
音楽のもつ力は偉大ですね!
認知症介護をされている皆さま、是非今日から患者さんとご自身の生活に「音楽」を取り入れてみてはいかがでしょうか。