訪問看護・訪問介護の応援ブログ「楽する日記」

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04/182016

楽しい認知症介護とは?

先日、熊本県で大きな地震がありました。今もなお余震が続いており、土砂崩れによっても甚大な被害がでています。今回の地震で亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。また被災者の方のお見舞い、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

さて、今回のテーマは認知症介護です。
先月、認知症患者が起こした事故によって受けたJR側の損害を、患者の遺族側が責任を負うべきかが争われた裁判がありました。3審目で遺族側に賠償責任はないという判決に至りましたが、「認知症」という病気について、そしてそれを患った患者さんとの関わり方について考えさせられたニュースだったと思います。
厚生労働省からは、2025年には65歳以上の5人に1人は認知症になっているという予測がでていますが、すでに現時点でも400万人、軽度者を含めれば700~800万人、1000万人という見立てもあります。
参考:厚生労働省新オレンジプラン  

将来、「認知症」は治療薬が開発され、いつか直せる病気になるかもしれません。しかし、まだその治療薬開発には至っておらず、今後増え続ける「認知症」やその患者との関わり方の正しい認識や知識を身に着けておくことが重要になってくると思います。
最新医療経営Phase3(1月号)で“「認知症」と正しく付き合う方法”が特集されていましたので、ここでご紹介させていただきます。

「認知症」と正しく付き合う3つの方法 以下、引用開始
1. BPSDはコミュニケーションの不足・不全からくる本人の不安や恐怖、自由意志の発露の妨げが原因で起こる錯乱・興奮ですから、それを取り除くことが大事になります。
2. 認知症患者は認知機能の衰えによって看護師や介護職を「敵」と思ってしまいがちですが、まずはそうではないと知ってもらう。それが仲間だと思えるようになると、今度は甘える。その甘えにうまく応じてあげて常に安心してもらえるようになると心も落ち着いてきます。
3. 上記2の感覚を介護職が持てるようになったら、本人も「あんたはいい人だ」という感覚を持つでしょう。そこで初めてこちらの気持ちが伝わるようになるし、本人からの意思表示も生まれるようになるのです。 以上、引用終わり

以上のような内容がかかれており、認知症患者さんとの正しい付き合い方を教えていただきました。
認知症介護においては、特に症状うんぬんの前に「人」に注意を払うべきで、もっと「人」を見ようと呼びかけている施設や団体もあるそうです。
これは認知症介護だけにおいてではありませんが、症状よりもまず、その「人」を見るというのはとても大切なことですね。
また、「『認知症の人・Aさん』ではなく、『Aさんが認知症を患っている』と受け止められることが重要」だとかかれており、このPhase3の特集を読んで、「人」と関わるにおいて忘れがちであるけれどとても大切なことを再認識させられました。
参考:最新医療経営Phase3(1月号)

症状や介護の辛い側面ばかりフォーカスされやすい認知症介護ですが、「楽しい!」と感じるときもあるという興味深いアンケート結果がありましたので、最後にその結果をご紹介させていただきます。
認知症の情報サイト「認知症ONLINE」を展開する株式会社ウェルクスは認知症の介護経験をお持ちの方に、認知介護を「楽しい!」と感じるのはどんなときか?という調査を実施されています。

○アンケート調査結果

認知症介護 問1

この円グラフを見るとわかる通り、認知症介護で「楽しい」「面白い」と感じたことがあると答えた方はなんと約9割にも上りました。

認知症介護 問2

「楽しい」「面白い」と感じたことが「ある」と回答した方に、どんな時に楽しさや面白さを感じますか?との質問に対し、トップは、「本人と信頼関係を築けた時」(67.0%)。最初は症状が落ち着かなかった人が日に日に穏やかになる、 あるときから「ありがとう」等の感謝の言葉をかけられるようになる等、信頼関係の構築に面白さを感じる、という意見が多く挙がったようです。
続く2位は、「予想外の言動に遭遇した時」(64.0%)。次の行動を予想できない、予想を超えるリアクションが返ってきた等、認知症特有の現象に面白さを感じる、という意見も。そして3位は、「本人の理解を深められた時」(42.0%)。今まで気づかなかったご本人の一面を知った、素の部分を知った時に面白さを感じる、という内容であったようです。

○自由回答で寄せられたコメント
表情の乏しい利用者さまに、声をかけ手を握らせていただき、温もりを伝えあった時、パッと表情が明るくなり笑顔を見せてくださる瞬間は、なんとも言えず幸せを感じます。 (45~49歳/特養 介護士、女性)
ありのまま、自分の命を全力で生きておられるお年寄りの方と関われることはとても楽しく、わたし自身の心の奥底にあるものに訴えかけてくるものがあります。 最期の大切な時間を共に過ごさせていただけることへの喜びも大きいです。 (35~39歳/女性)

○認知症介護を「楽しい」「面白い」と感じた具体的なエピソード
・めくるめく認知症ワールドが奥深い
ショートステイに入所されたときに、ご本人の中では、ロシアから今やって来た事になっていて、認知症の方のワールドっておもしろいなぁ!と思いました。 同僚から聞いた話。明け方、キャーという声に訪室すると、あるご利用者が他ご利用者の寝ている所へ行き、足を引っ張っていたそうな。どうしてか尋ねると、大根収穫して出荷せんといけん!でも、細い大根ばかり…と嘆いていらっしゃったそうで…大爆笑してしまいました。(40~44歳、女性)
・今日は何が起こるのか楽しみ
認知症介護を14年してますが、毎日の表情、行動が変わる、今日は何が起こるのか、楽しみです。また、コミュニケーションでは、否定はせず、会話をしていると、硬い表情から優しい表情へかわり落ち着いていかれるのには、介護して側としても楽しいです。最近は、経験で得た引き出しを上手く使いながら、コミュニケーションがはかれ、ケアも出来ています。 (35~39歳/男性)
参考:「認知症ONLINE」 

まとめ
ネガティブな側面が先行する認知症介護のイメージと裏腹に、ほかの患者さんの介護と比べて、障害があるからこそ見えてくる本来の人間性や、新たに人間関係や信頼関係を構築できたときの達成感、日々新しいことや予想外なことが起こる楽しみなど、多くの前向きな側面があることに気づかされました。
もちろん、認知症介護は楽しいことばかりではありません。特に介護中のご家族は、身近なだけに本人の変化を受け入れられなかったり、気持ちが伝わらずわかってもらえないことに苛立ちを覚え、感情的になってしまうことも多くあります。
一方で、今回のアンケート結果のように認知症介護にやりがいを持ち、楽しい側面に目を向け前向きに頑張っていらっしゃる方も沢山います。辛くて苦しい面ばかりでなく、「楽しい」「面白い」と思えるポジティブな面にも積極的に目を向けていくことで、介護や認知症患者と前向きに向き合え、ご本人の豊かで穏やかな暮らしにも繋がるのではないでしょうか。
認知症介護をしているご家族や介護スタッフの苦労や思いと同時に、認知症介護の前向きで楽しい側面がもっと社会に広く知られるようになれば嬉しいです。

今回のブログが少しでも認知症介護に悩むご家族の皆さんや訪問看護・介護スタッフの方々のお役にたてれば幸いです。