訪問看護・訪問介護の応援ブログ「楽する日記」

クラウド型の訪問看護・訪問リハビリ・訪問介護支援システム ケアラクスル
03/242016

地域包括ケアシステム

今回は「地域包括ケアシステム」について考えていこうと思います。

ご存知のとおり、日本は諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。現在、65歳以上の人口は、3000万人を超えており(国民の約4人に1人)、2042年の約3900万人でピークを迎え、その後も、75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。このような状況の中、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年以降は、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれています。
このため、厚生労働省では
“2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。”
と、地域包括ケアシステムを進めていくことを目標として掲げています。
参考:厚生労働省HP
 
「包括」とは、全体をひっくるめてまとめることを言います。つまり、地域包括ケアシステムとは、高齢者が“住み慣れた地域”で介護や医療、生活支援サポート及びサービスを受けられるよう市区町村が中心となり、「住まい」「医療」「介護」「生活支援・介護予防」を“包括的に”体制を整備していくことです。

 

包括ケア図

 
出典:みんなの介護

厚生労働省の「地域包括ケアの推進」によると、地域包括ケアシステムによって2025年までに以下のことを実現できるよう目指されています。
“①医療との連携強化
・24時間対応の在宅医療、訪問看護やリハビリテーションの充実強化
・介護職員によるたんの吸引などの医療行為の実施
②介護サービスの充実強化
・特養などの介護拠点の緊急整備(平成21年度補正予算:3年間で16万人分確保)
・24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設など在宅サービスの強化
③予防の推進
・できる限り要介護状態とならないための予防の取組や自立支援型の介護の推進
④見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など
・一人暮らし、高齢夫婦のみ世帯の増加、認知症の増加を踏まえ、様々な生活支援(見守り、配食などの生活支援や 財産管理などの権利擁護サービス)サービスを推進
⑤高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備(国交省と連携)
・一定の基準を満たした有料老人ホームと高専賃を、サービス付高齢者住宅として高齢者住まい法に位置づけ”

参考:厚生労働省老健局「地域包括ケアの推進」

 

○地域包括ケアシステムのメリットと課題

まずメリットとして挙げられることは、地域包括ケアシステムが構築されることによって、高齢者の方が「医療」「介護」「介護予防」「生活支援」「住まい」という5つのサービスを不自由なく受けられるようになることです。今までは別物として考えられていた5つのサービスが連携し、一体となることで高齢者の方々がよりスムーズに必要なサービスが受けられ、豊かな暮らしを期待することができます。
また高齢者だけでなく市町村にとっても、“その町らしさ”のある町づくりの構築にもつながります。

 

地域包括ケアシステムはとても素晴らしいシステムなのですが・・
一方で懸念されていることもあるのが事実です。
その一つは広がる地域差です。
大都市部や町村部など、高齢化の進展状況や介護に大きな地域差が生じています。
介護雑誌CLINIC BAMBOO12月号によると、
“1人あたりの介護費(13年度)は、全国平均が27.7万円、都道府県別にみると埼玉県が21.4万円で最小値となっているのに対して沖縄県が34.9万円で最大値となっており、最小と最大の差は約1.6倍と医療費以上に地域差が大きくなっている。”
とあり、これらの介護の地域差の要因については、年齢構造だけでなく、実際の要介護者の発生率やその申請率、医療の供給状況等、様々な要因が関与していることが想定されます。

参考:CLINIC BAMBOO12月号

 

地域包括ケアシステムにおいても、介護費の地域差と同じように、地域によってそのシステムの機能に差が見られるのではないかと懸念されています。
このような背景のもとで厚生労働省では、市町村が介護事業の現状分析や課題抽出、医療・介護関連計画の実行管理、サービス見込み量等の将来設計等を自主的、かつ効率的に行う体制を支援するため、地域包括ケア「見える化」ツールの開発がなされています。早ければ2016年7月にも1次運用が始まる予定です。

私たち地域が主体となって考え、作り上げていかなくてはいけないものなのです。
地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です

 

ここで少し海外の例を見てみましょう。
日本の地域包括ケアシステムのモデルとなったのは、オランダのビュートゾルフがその一つだとされています。
オランダのビュートゾルフの介護やケアシステムはどのようなものなのでしょうか。
ビュートゾルフとは、2007年に4人の看護師で設立され、現在国内シェア60%を超す在宅ケア組織です。また、オランダの在宅サービス組織で利用者満足度No.1、オランダの全産業で従業員満足度No.1を獲得している組織です。
介護ビジョン(12月号)によると、今オランダが注目されている理由は、
“・地域包括ケアを構想する要素である、地域ケア(Community-based Care)と包括ケア(Integrated Care)の両者のコンセプトを含むシステム構築を試みた数少ない国であること
・世界で初めて長期ケア保障の普遍的な強制加入の社会保険制度を導入し着実に制度改革を実行していること
・ヘルスケア・ソーシャルケアワーカー労働市場が相対的に見て明るい状況にあること”
などが挙げられています。

参考:介護ビジョン12月号

 

ビュートゾルフの大きな特徴は、最大12人のナースがひとつのチームをつくり、分業せずに40~50人の利用者を支援することです。各チームに管理者はおらず、全てのナースがリーダーシップを発揮している環境にあるそうです。
ある日の訪問状況は、午前中に8人訪問と、1件の平均滞在時間は30分未満。
日本での一日あたりの訪問介護件数の平均は、4.5件程度だと思います。
このようにビュートゾルフが短時間で効率的なケアが可能になっている要因の一つが、ビュートゾルフ・ウェブです。
ビュートゾルフ・ウェブとは、業務管理や知識創造の場、チーム生産の見える化、ケアの品質管理と見える化を可能にするシステムのことです。
これによって、ナースは煩雑な書類記入に煩わされることなく、iPad一台持参するだけで事足りるようになります。また、なにより一人ひとりのナースが自身で意思決定を行う「自立」と「自律」が徹底されていることが成功の大きな要因だと紹介されていました。
このオランダのビュートゾルフが地域包括ケアシステムの一つのモデルとされており、日本も学ぶところがたくさんあることがわかります。
弊社商品Careluxlもこのビュートゾルフ・ウェブのもつ先進的な要素と類似しているところがあります。その利点の一つが訪問看護師さんや訪問介護士さんはCareluxlシステムを取り込んだタブレットを持参するだけで直行直帰が可能になり、一日の訪問件数がアップするという点です。タブレットを持参するだけで煩雑な書類記入に煩わされることなく、効率的に訪問看護や訪問介護に従事できるようになることは、とても画期的なことだと思います。
先ほどご紹介したように、オランダのビュートゾルフは既に主体性や自主性をもって行動しています。日本でも、弊社商品Careluxlを使うことによって自主性をもって地域の特性を生かした地域包括ケアを進められる看護・介護関係者が増えれば嬉しいです。

 

自助や互助、共助、公助のバランスが大切です。
今回の地域包括ケアシステムの問題が私たちになにができるのかを考えるきっかけになればいいですね。